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職場におけるストレスチェックについて

職場におけるストレスチェックについて

職場における労働者のメンタルヘルス対策は行われていますか?

職場のメンタルヘルスケアは、職場で働く人々の心の健康づくりを行うもので、健康経営に欠かせないものとなっています。

今回は職場においてのメンタルヘルス対策となる「ストレスチェック制度」について、その目的とストレスチェック実施の現状、ストレスチェックの流れ、組織分析の活用について解説いたします。

職場のメンタルヘルス対策とストレスチェックの目的

労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するために、心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」といいます。)が平成27年12月から開始されました。
職場におけるメンタルヘルス対策の取組は、その実施目的から、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見)、三次予防(職場復帰支援)の3つに分類されます。

ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、 職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を主な目的としています。

また、事業者は、ストレスチェック制度がメンタルヘルス不調の未然防止だけでなく、労働者のストレス状況の改善および働きやすい職場の実現を通じて生産性の向上にもつながることに留意し、ストレスチェック制度の積極的な活用を進めていくことが望ましいとされています。
(参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルより)

ストレスチェック制度の現状

制度が始まって7年が経過し、多くの事業者さんにストレスチェック制度が認知されてきています。
最初のころは、事業者・労働者ともに一定の割合でストレスチェック制度の目的はうつ病等のスクリーニングであるとの誤った認識を持たれた方もいました。

また、実施すること自体が目的になっているような事業者さんや担当者の方が多く見られましたが、最近はストレスチェック後の集団分析や、その後の職場環境改善に重点が移されている様に思われます。その証拠に、設問数57項目の標準タイプから、集団分析ができる項目をより充実させた80項目のタイプや、独自の集団分析項目を取入れたものも出ています。
しかしながら、まだ実施さえすれば良いと考えている事業者さんも存在することは事実で、折角のデータを生かし切れていないことも一方にあります。

現在は、「第13次労働災害防止計画」(平成30年2月策定)においても、「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上」、「ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上」等の目標があり、ストレスチェック制度を含むメンタルヘルス対策の推進が求められています。

第14次労働災害防止計画(2023~)(案)においては、ストレスチェックの実施が努力義務とされている労働者数「50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合を2027年度までに50%以上とする。」とされており、ストレスチェック制度の一層の普及促進が求められています。

ストレスチェックの流れ

ストレスチェックの主な流れは上図のようになっています。
(出典「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」令和4年3月厚生労働省 より)

まずは、ストレスチェック制度の実施責任主体は事業者であり、事業者は制度の導入方針を決定し表明します。
事業者の皆さんには、ストレスチェック制度の目的をしっかりと確認いただくとともに、実施に際し、労働者に対しても制度の趣旨・目的を周知していただくことが大切です。

①Plan(計画) ストレスチェック制度の導入準備

<担当:事業者>
 ・事業者による方針の表明

 ・衛生委員会で調査審議
  目的 / 実施体制 / 実施方法 / 労働者に説明、情報提供 / 情報の取扱い / ストレスチェックの結果の保存 / 事業者へ結果を提供する際の同意取得方法 等

 ・労働者に案内、説明・情報提供

②Do(実行) ストレスチェックの実施

<担当:実施者 →従業員 → 事業者⇔医師>
 ・実施者(医師、保健師等)によるストレスチェックを実施
 ・ストレスチェックの結果を労働者に直接通知

 ・面接指導の対象者への面接指導の申出の勧奨(実施者)
 ・高ストレス者のための保健師等による健康相談 /ストレスチェック結果を踏まえたセルフケア
 ・労働者から事業者へ面接指導の申出
 ・医師による面接指導の実施 → 必要に応じて相談機関、専門医への紹介
 ・必要に応じ就業上の措置の実施

 ・ストレスチェックの結果を職場ごとに集団分析 (過去との比較、部署や職種、職位・職階等、業務実態にあった分析単位)
 ・集団分析の結果を事業者に提供
 ・職場環境の改善のために集団分析を活用

③Check(評価)& Act(改善) 実施状況の点検・確認と改善事項の検討と活用

<担当:事業者>
 ・ストレスチェックと面接指導の実施状況の点検・確認と改善事項の検討
 ・組織分析結果を職場環境の改善のために活用

ストレスチェックはストレスへの気づき!集団分析結果に基づく職場環境改善を

ストレスチェック制度は、上記のようにPDCA サイクルに沿って組織的に取り組むことが重要です。
特に、集団分析とその結果を活用した職場環境改善は、ストレスチェック制度の主目的である一次予防を推進するための重要な手段です。
また、労働者のストレスの原因となる職場環境を継続的に改善していくための重要なステップとなります。
そのため、より多くの労働者が受検する事により、職場環境の現状を正確に知ることができますので、準備段階から周知啓発する事も大切です。

ストレスチェックの集団分析は法律では努力義務とされています。実施しなくても事業者が罰則を課せられることはありませんが、集団分析の実施には下記のようなメリットがあります。
 ・企業が、従業員全体のメンタルヘルス不調のリスクを把握でき、不調者発生の予防につなげられる
 ・組織の課題や強みが明確になり、働きやすく生産性の高い職場づくりに活かせる

ストレスチェックの集団分析を行うことによって、高ストレス者の多い部署がわかり組織の課題が可視化でき、職場環境の改善策を講じることができます。
職場環境が改善されることにより、従業員のメンタルヘルス不調の未然防止に役立ち、仕事の質の向上にも結びつけられるでしょう。
(参考:厚生労働省「ストレスチェック制度 簡単!導入マニュアル」)

メンタルヘルスの不調がみられる従業員が発生した場合には?

万が一、メンタルヘルスの不調がみられる従業員が発生した場合には、その早期発見と適切な対応を図ることも重要になっていきます。
もしメンタルヘルス不調者が出た場合は、こちらの記事をご参考になさってください。

最後に

日本産業医支援機構では、ストレスチェックの標準57項目、さらにより詳細な集団分析ができる項目を増やした80項目のタイプを準備しています。事業場の規模や産業医選任の有無に関わらず実施者業務も行っております。
また、集団分析結果に基づく職場環境改善に関するお問合せにも対応いたしますのでお気軽にお声がけください。

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