2021年9月に過重労働での労災認定基準が見直されました。今回は、改正に関するポイントと今後企業としてどのような対応が必要なのかについてお伝えします。
そもそも過労死による認定基準とは?
過労死として認定するかどうかは、労働基準監督署で基準を設けており、脳・心臓疾患用と精神疾患用とで基準が分けられています。
◇脳・心臓疾患
仕事が特に過重であったために血管病変等が著しく増悪し、その結果、脳・心臓疾患が発症した場合、
仕事がその発症にあたって相対的な有力な原因となったものを労災補償の対象となります。
◇精神疾患
発病した精神障害が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合に労災補償の対象となります。
ただし、仕事によるストレスが強かった場合でも、同時に私生活でのストレスが強かったり、
その人の既往歴やアルコール依存症などが関係している場合には、慎重な判断が必要となります。
◇脳・心臓疾患
仕事が特に過重であったために血管病変等が著しく増悪し、その結果、脳・心臓疾患が発症した場合、
仕事がその発症にあたって相対的な有力な原因となったものを労災補償の対象となります。
◇精神疾患
発病した精神障害が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合に労災補償の対象となります。
ただし、仕事によるストレスが強かった場合でも、同時に私生活でのストレスが強かったり、
その人の既往歴やアルコール依存症などが関係している場合には、慎重な判断が必要となります。
改正に関する4つのポイント(脳・心臓疾患)
※今回の改訂は、今までのものに追加した形での改訂となります。今までのものさしが緩められたわけではありませんので、ご注意ください。
1)長期間の過重業務の評価は、総合評価される
【改正前】
発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について、業務と発症との関係が強いと評価
【改正後】
上記の時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働を行った場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価
つまり、65時間以上の場合は、明確な理由がない限り労災を認める動きになってきています。
実際、令和3年の労災支給決定件数(脳心臓疾患)では、60時間~80時間未満においても支給が決定されており、今後もその件数は伸びてくると考えられます。
発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について、業務と発症との関係が強いと評価
【改正後】
上記の時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働を行った場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価
つまり、65時間以上の場合は、明確な理由がない限り労災を認める動きになってきています。
実際、令和3年の労災支給決定件数(脳心臓疾患)では、60時間~80時間未満においても支給が決定されており、今後もその件数は伸びてくると考えられます。
2)労働時間以外の負荷要因が見直された
3)「短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合」が明確化された
4)対象疾病に「重篤な心不全」を新たに追加
【改正前】
不整脈が一義的な原因となった心不全症状等は、対象疾病の「心停止(心臓性突然死を含む)」に含めて取り扱っていました。
【改正後】
心不全は心停止とは異なる病態のため、新たな対象疾病として「重篤な心不全」を追加しました。「重篤な心不全」には、不整脈によるものも含みます。
不整脈が一義的な原因となった心不全症状等は、対象疾病の「心停止(心臓性突然死を含む)」に含めて取り扱っていました。
【改正後】
心不全は心停止とは異なる病態のため、新たな対象疾病として「重篤な心不全」を追加しました。「重篤な心不全」には、不整脈によるものも含みます。
今後の労働時間の管理と対応
企業が労働時間を把握しなければならない理由は、実は2019年を境に大きく変容しています。
これまでは、従業員の割増賃金を計算するために労働時間の管理が必要とされてきました。しかし、今後は上記と合わせて、疲労の発生・蓄積を把握することを目的に、取締役を除く全ての労働者を対象とした労働時間の管理も必要となるでしょう。
また、働き方改革やコロナの影響により、労働時間の削減やテレワークなどの管理が企業の課題となっています。このような状況下でしわ寄せが来てしまうのが、労働時間の規制が弱く、病気のリスクが高いと言われている中高年の管理監督者・裁量労働者です。今後は、管理監督者・裁量労働者の負担が増え、労災リスクが高まっていくと考えられます。
今後の企業としての対応は、あらゆる労働者の労働時間の把握と管理監督者・裁量労働者健康管理を徹底することが大切ではないでしょうか。
これまでは、従業員の割増賃金を計算するために労働時間の管理が必要とされてきました。しかし、今後は上記と合わせて、疲労の発生・蓄積を把握することを目的に、取締役を除く全ての労働者を対象とした労働時間の管理も必要となるでしょう。
また、働き方改革やコロナの影響により、労働時間の削減やテレワークなどの管理が企業の課題となっています。このような状況下でしわ寄せが来てしまうのが、労働時間の規制が弱く、病気のリスクが高いと言われている中高年の管理監督者・裁量労働者です。今後は、管理監督者・裁量労働者の負担が増え、労災リスクが高まっていくと考えられます。
今後の企業としての対応は、あらゆる労働者の労働時間の把握と管理監督者・裁量労働者健康管理を徹底することが大切ではないでしょうか。
最後に・・・
日本産業医支援機構では、経験豊富な産業保健コンサルタントが企業様の課題やニーズに合わせたサービスをご提案いたします。
ちょっとしたご相談やご質問などございましたら、お気軽にホームページまたはお電話にてお問合せください。
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